第9回目のペアリングは夏に程よい脂を纏った塩気を残した酢締めの鯖とのペアリング
フレッシュなリオハ・ブランコ(ビウラ主体)
しめ鯖の「酸 × 脂」という二面性を受け止められるのは、ジンジャーやオリエンタルスパイスの風味、柑橘のニュアンスと穏やかな酸と柔らかな果実味をあわせ持つ樽熟成を経た、リオハの白。
ビウラを主体に仕立てられたリオハ・ブランコは、若いスタイルなら爽やかな柑橘とジンジャーの香りが青魚の香気を整え、樽熟を経ると香ばしいナッツなどの香ばしい旨味のニュアンスが脂の旨味と溶け合い、光物の複雑さを新たな次元へと導く。
◯ ペアリングのロジック
- 鯖の脂を、柑橘や青リンゴの酸がリセットし、後味を清める。
- 白い花、ジンジャーやハーブのニュアンスが、青魚の香りをやわらげ、清々しさを添える。
- 若々しい果実味とミネラル感が、酢締めの酸味とシャリの風味に共鳴し、口中に透明感を残す。
- 酢締めという凝縮された旨味が、樽熟成の香ばしさや旨味と相乗効果をもたらす。
切れ味のフレッシュか、厚みある熟成か。
しめ鯖の握りは、ワインとの出会いによって「脂と酸の芸術」へと姿を変える。
リオハの白は、その幅広いスタイルによって、鮮烈にも重厚にも応答し、光物の可能性を豊かに映し出す。
しめ鯖 × リオハ・ブランコ(ビウラ主体)
しめ鯖は「光物の王道」。脂と酸の二重奏は、鮨の世界でも最も強烈な存在感を示す。塩と酢で仕立てられたその味わいは、江戸前鮨の粋を映す鏡だ。
そこに寄り添うのが、スペイン・リオハの白。フレッシュなビウラは柑橘やハーブの透明感で脂を切り、熟成を重ねたタイプは樽香と厚みで脂を包み込む。
鮮烈さか、熟成の豊かさか──。リオハの白としめ鯖は、酸と脂の対話を多面的に描き出し、“光物とワインの可能性”を一層広げるのである。